Player  ~ゲームの中と裏合わせのリアル~

登場人物

・佐々木深月(イツキ)

・佐藤太一(ライ)

・田村蒼人(リッカ)

・宮野桜(桜華)

・鈴木愛(alice)

・ラズリィ

・ダズリィ

・ザコ

・中ボス

・ラスボス

・機械人形

・西洋人形

・研究員

・学者

・護衛

幕が上がる前

花道にラズリィ&ダズリィ登場

ラズリィ(以下ラズ)「こんにちは!」

ダズリィ(以下ダズ)「初めまして!」

ラズ「私はラズリィ」

ダズ「私はダズリィ」

ラズ「このゲームの」

ダズ「案内役です」

ラズ「このゲームは最大5人で遊べるRPG!」

ダズ「役職の選択が終わったら今日からあなた方も時空管理局の一員です」

ラズ「時空管理局では過去や未来、または異世界に行き、敵を倒して世界の平和を守る仕事をしています!」

ダズ「今回、晴れて新入り局員になったあなた方には成績優秀局員5人の仕事を見学していただきます。」

2人「では」

2人は一礼して退場。それと同時に幕開け。5人が倒れていたり、よりかかっていたりしている。ブルー暗転。ライ、イツキ、桜華、リッカ、aliceの順に目覚める。明転。

イツキ「どこ?……ここ」

桜華「この服、ゲームの装備みたいですけど」

リッカ「もしかして、ゲームの中に閉じ込められちゃったとか?!」

桜華「なんで楽しそうなんですか?!」

Alice「こわ~い」

桜華「……というか、あなたたち誰ですか?」

リッカ「え?!あんた、俺のこと知らないの?!」

桜華「知りません」

理科「うっそ~!俺はリッカ!斧使いだ!!」

桜華「普通アックスナイトって言うんですけどね。リッカさん、ですか。」

イツキ「もしかして、この間のイベントランキング3位だったひと?」

リッカ「お、よく知ってるな!けっこう成績残しているし、有名になったと思ったんだけどな~」

桜華「3位…私はあなたのような人に負けたんですか…」

リッカ「あんたは?」

桜華「4位でした。……することもないのですし、自己紹介でもしましょう。桜華です。役職は女戦士(ヴァルキュリア)で、装備は日本の物を主としているので、日本刀です。」

Alice「本当だ~!すごぉい!!」

イツキ「ぼくも戦士(ソルジャー)やっているけど、日本刀なんてはじめてみたよ!」

リッカ「ああ!ヴァル…なんちゃらとか、ソルジャー?もう、わっかんねー!!」

桜華「(ため息)ヴァルキュリアは女戦士、ソルジャーは戦士のことです。」

リッカ「あ、なるほど!つまり、あんたら二人は刀を使って戦うってわけね」

桜華「簡単に言えばそういうことです。…それであなたのお名前は?」

イツキ「僕はイツキ」

リッカ「イベントランキング!!」

イツキ「……僕は2位だったよ」

リッカ「くっそ~負けた~!!」

桜華「まあ、妥当ですね」

リッカ「んだとぉ~!!」

Alice「みなさんすごいんですね~」

イツキ「えっと、何が?」

Alice「順位ですよ、順位!!私……5位でした!」

桜華「十分じゃないですか。」

Alice「でもぉ、この中じゃ一番下じゃないですかぁ!あ、私aliceです!魔女(ウィッチ)やってます!リッカさんのために説明しますけど、ウィッチは魔女のことです!」

リッカ「おっ、わかりやすい!サンキューな!」

Alice「いえいえ~」

イツキ「これで一通り自己紹介は終わったね。まあ、よろしく」

桜華・リッカ・alice「「「よろしく(お願いします)(な!)(ですぅ)」」」

桜華「とりあえず、状況を整理しましょう。ここはゲームの中とみて間違いないですね?」

イツキ「まぁ、そうなるだろうね」

Alice「でもでも!こんな不気味な背景のイベントありませんでしたよ?」

リッカ「それに、こんなしっかりした感覚があんのに、ゲームの中って言われてもなぁ」

桜華「いまのところ、それ以外の私たちの共通点はありませんでした。服装……装備から見ても、そのように考えるのが合理的かと。」

リッカ「でも、なんかなぁ~」

Alice「ラズリィちゃんとダズリィちゃんがいれば、少しは信じられるかもしれないけど…」

Aliceのセリフと同時に、ラズリィ&ダズリィが登場

ラズ「こんにちは!」

4人「うわ!!」

ダズ「こうしてお会いできるのは初めてですね」

Alice「え?!うそうそ、本物?!!」

ダズ「私たちに偽物も、本物もありません。」

ラズ「それより、もっと喜んでくださいよ!あなた方は選ばれた者、なのですから!」

イツキ「選ばれた者?」

ダズ「時空管理局の成績優秀局員に選ばれたのですよ!」

ラズ「その功績をたたえ、新イベント!人形館~さびれた機械の孤独~をプレイしていただきます」

ダズ「イベントを数多くこなしてきた皆さんなら、もうおわかりでしょうが、帰る方法は一つ」

イツキ「敵を倒して」

桜華「イベントをクリアすること……」

ダズ「……さすがですね」

Alice「それじゃあ、私たちは……」

リッカ「イベントをクリアするまで帰れねぇってことかよ!」

ラズ「そうなりますね!」

桜華「……一つ質問してもいいですか?」

ラズ「ええ、もちろん!」

ダズ「かまいませんよ!」

桜華「このゲームで、ゲームオーバーになった場合、どうなるんですか?」

ダズ「ゲームオーバーになった場合、ですか?」

ラズ「それはわかりません」

リッカ「おい!どういうことだよ!」

ラズ「言ったままの意味ですよ!」

ダズ「成績優秀者を集ってゲームをするのは今回が初めてです!」

ラズ「なので、ゲームオーバーと言われてもわからないんですよ!」

リッカ「!!ふざけんなよ!!」

ダズ「ふざけてなんかいませんよ」

ラズ「我々は真剣です!」

Alice「あんたら……」

イツキ「ちょっと!落ち着いて!!」

ラズ「文句はゲーム開発者に言ってください!」

Alice「ゲームの、開発者さん?」

ダズ「ええ、我々とこの世界を生み出した人物です。我々はあの人の言うがままに動いているまでです。」

ラズ「とりあえず、このイベントをクリアすればすべての真実がわかりますよ!」

2人「では」

ラズ&ダズは退場

リッカ「あ、おい!…ちくしょう」

Alice「あの二人……やっぱり実際見ると可愛いかったなぁ~」

桜華「そんなこと言ってる場合ですか?」

イツキ「まあ、ずっと肩肘張ってるよりはいいんじゃないかな」

桜華「……それもそうですね」

イツキ「とりあえず、イベントをクリアするほかないみたいだし……」

ライ、静かに下手から登場

ライ「わかってんならさっさと行動しろよ」

リッカ「あんた、いつからそこにいた?」

ライ「割と前から。そこに。とりあえず、ラズリィとダズリィの話は聞いてたよ」

桜華「えっと、あなたもゲームのプレイヤー?」

ライ「ああ、俺はライ。銃使い…ガンナーだ。」

イツキ「ライって、あの伝説の?」

Alice「有名人ですか?」

イツキ「イベントランキングでいつも一位なんだよ」

リッカ「まじか!すっげぇ!!」

桜華「さっきの怒りはどこにいったんですか」

イツキ「あの、ライさんと一緒に……」

ライ「俺はお前らと行動しねぇ」

Alice「な、なんでですかぁ?」

ライ「行動が遅い。状況把握のために建物一通り見て、地図などの手がかりを入手するのはこのゲームの攻略の基本だ。(地図を投げてよこす)」

リッカ「あっ…」

ライ「そんなこともできねぇやつと一緒に行動なんかしたくねぇ。足手まといだ。」

Alice「そんなぁ~」

桜華「待ってください!!」

ライ「…(足を止めて無言で振り返る)」

桜華「イベントにはイベントストーリーがあり、それを読まないとイベントはスタートしません。それを見るために行動を共にしませんか?」

リッカ「お!桜華ちゃんナイスアイディア!!」

イツキ「そうだよ、ストーリーって読んでた方がゲーム進めるの有利だし!!」

ライ「…………ストーリーまでな」(はける)

Alice「ん~!!かっこいい~!!」(追いかけるようにはける)

リッカ「あれが1位の余裕かよ」(はける)

桜華「大変なことになりそうですね」

イツキ「……行こうか」(二人はける)

歯車の音。中幕閉じる。(裏ではセット転換)

上手から機械人形登場

その他「出ていけ!出ていけ!!」

機械人形(以下機械)「そんな…わ、私は…」

その他「出ていけ!出ていけ!!」

機械「待って、私の話を……」

その他「出ていけ!出ていけ!!出ていけ!!!」

機械「やめてーーーーーーー!!!」

機械人形、その場に倒れる様にしてしゃがみ込む。

そこに下手から5人登場。

桜華「あの、あなた、大丈夫?」

機械「さわらないで!!」

リッカ「えーっと…何かあったのか?」

機械「……」

イツキ「あ、無理に話さなくてもいいからさ」

機械「私に…」

桜華「っ今、何と?」

機械「私に関わらないでー!!」

はける。

桜華「…なんで……」

人形ABC登場

人A「なんでってそりゃあ」

人B「あの女が西洋人形にひどい事して」

人C「この館に居づらくなったからさ!!」

Alice「ひどい…ことぉ~_」

人形DE登場

人D「そう、せっかく西洋人形が優しくしてくれたのに…」

人E「その西洋人形から離れようとした。」

人形「ゆるせない…ゆるせない…ゆるせない…」

Alice「さっきから言ってる西洋人形って~?」

人A「西洋人形は…」

人B「この館1…」

人C「美しい人形さ!」

人D「彼女は館のみんなから」

人E「愛されているの!」

イツキ「じゃ、じゃあ、機械人形っていうのは…」

人形たちから感情が消える。

人A「機械人形は…」

人B「この館1」

人C「醜い人形さ」

人D「彼女はこの館のみんなから」

人E「嫌われているの」

リッカ「なんでだよ?」

人A「だってあいつは」

人B「俺たちとは違う」

人C「体は鉄でできているし…」

人D「心もプログラムされていて」

人E「電気で動く」

人形「ただの醜い人形だ」

Alice「それって……」

桜華「差別じゃないですか!」

人形「差別?差別って何?何が差別だ?」

イツキ「だめだ、この人形たち話が通じない。」

リッカ「なんか、胸糞悪い話だな。」

Alice「このあと、どぉしよう…」

ライ「……お前らもう少し頭を使えよ」

桜華「どういうことですか?」

ライ「イベントタイトル的に、あの機械人形を救い出せばクリアなんだろ?機械人形以外でてきてる、キーパーソンになりそうなキャラは……」

4人「西洋人形」

ライ「そゆこと。その西洋人形とやらに話を聞けば……」

周りで動き回っていた人形の動きが止まる。

人形「・・・・・・・・・・・・・・」

Alice「こ、この人形たちぃ、どうなっちゃったんですか?」

人A「行くのか?」

人B「行くのか?」

リッカ「行くって、どこにだよ」

人C「西洋人形のとこ」

人D「西洋人形のとこ」

桜華「そのつもりですけど……」

人E「それなら……」

人形「それなら……許さない!!」

人形たちが武器を手に取り、襲い掛かってくる。

リッカ「うわぁ!!」

とっさに武器で応戦する。

Alice「もう!この人形たち、なんでいきなり襲って来たんですかぁ~?」

桜華「どうやら私たちを西洋人形のいる部屋に行かせたくないようですね。」

人A「ぐはぁ!!」

ライの一撃で人形A倒れる。

ライ「じゃ、ストーリーもだいたい把握したし、俺は抜ける」

ライはける。

人B「ぐはあ!」

イツキ「あ、ちょっと、待って……」

イツキ、ライを追いかけようとするも、上手下手から「ゆるさない…」を連呼する人形集団に囲まれる。

桜華「ライさんのことは後です!」

リッカ「今は目の前の敵をぶっ倒すことが先っしょ!!」

Alice「サポートします!」

人形と戦う。(詳細は略)

中幕が開くと西洋人形の部屋。傷だらけのライと西洋人形。4人登場。

桜華「ライさん?!大丈夫ですか?」

リッカ「まだゲームオーバーにはなってねぇみてぇだけど…」

イツキ「それも時間の問題かな?」

Alice「HP回復してみます」

西洋人形(以下西洋)が愉快そうに笑う。

西洋「あら?お仲間のご登場?」

リッカ「あんたは…」

西洋「あんたなんて失礼ね。私は西洋人形。この館の女王よ」

桜華「西洋人形さん、答えてくさだい。あなたと…機械人形のお話を……」

西洋「ええ、いいわよ。ただ、本人がいない前であれこれ言うのも気分が悪いものね。」

手を叩くと他の人形が機械人形をつれて出てくる。

西洋「この子、この館のみんなに嫌われてたの。当然よね?だってこんなに醜いんだもの!」

リッカが西洋人形に抗議しようとするが、イツキにとめられる。

西洋「そこで、私は考えたわ。そんなかわいそうなこの子に私が声をかけて仲良くしてあげればいいって。そうすれば私はもっとみんなから好かれる!あんな醜い人形にまで優しい私はいい子だって!」

桜華「…彼女はあなたの道具ではありませ」

西洋「道具よ!私が好かれるための。機械とか言ってるくせに単純な思考回路で馬鹿みたいに私の言うこと信じて……。とっても利用しやすかったわ!それに結果的にこの子に対するいじめもなくなったわけだし?むしろ感謝してもらわないと!」

イツキ「じゃあ、なんでその機械人形は捕らえられているのさ」

西洋「……逃げ出そうとしたからよ。私から、この館から!!単純な頭で、ようやく理解したのかしら?私に利用されているって!!」

機械「ち、違う…私は……」

西洋「違うですって?何が?」

機械「それは…!それは……」

西洋「……ほら、何も言えないじゃない。いっつも良い子ちゃんぶってたあなたは、自分の考えも言えないの?」

リッカ「あのさぁ…いろいろ考えたんだけどさ。結局、西洋人形様は機械人形がうらやましかったんじゃねぇのか?」

西洋「うらやましい?」

リッカ「そ。自分と違って純粋で、根っからのいい子で。自分にないもんいっぱい持ってて。だから助けたんだろう?憧れて友達になりたいから。」

西洋「友達だなんて、私は…」

リッカ「でも、そんな機械人形が離れるってなって、怖くなった。自分が好かれなくなるからじゃない。大切な本当の友達がまたいなくなるからだ。」

西洋「ちがう…違う、違うっ、違う!!!!」

桜華「無条件で愛されてきたあなたは、友達というのが……憧れという感情が……それゆえの嫉妬が理解できなかった。というわけですね?」

西洋「ちがう、ちがう!ちがう!!」

イツキ「なんでそう否定するの?自分の気持ち、本当はもうわかって……」

西洋「黙れ!うるさい!!」

西洋人形が機械人形に襲い掛かる。イツキがとっさにかばう。西洋人形&人形VS5人。

西洋人形がイツキにとどめをさそうとしたとき、ライが間に入ってイツキをかばう。

ライ「……傷の手当の礼だ。」

Alice「良かったです!回復魔法使えました!」

ライも参戦。5人の方が優勢。ついに西洋人形が膝をつく。ライが銃口をむける。

機械「やめて!!(拘束を振りほどいて西洋人形の前に立ちはだかる)

西洋「何やってるのよ?早く、早くどきなさいよ!わかってるの?あなたは私に利用……」

機械「されたってかまわないよ!!」

西洋「は?あなた、何言って……」

機械「だから!利用されたってよかったんだよ!利用してたって嘘だって、なんだって!!…………私を、助けてくれた。」

西洋「…………」

機械「声をかけてくれた時…利用されてても嬉しかった。一緒にいた時間は嘘でも楽しかった。私はいつだって、幸せだった。」

西洋「……ばっかじゃないの?」

機械「……うん、馬鹿だよ。」

西洋「ばか……ばか、ばか、ばか!!」

泣き崩れる西洋人形。抱きとめる機械人形。2人にピンスポ。他はストップモーション。

西洋「そういえば、なんで逃げようとしたの?」

機械「逃げようとなんてしてないよ?」

西洋「じゃあ…なんで?」

機械「覚えてないかな?」

西洋「何をよ?」

機械「去年の今日、あなたと私が、出会った日。」

西洋「そうだったかしら?」

機械「そうよ。だから、あなたにプレゼントでも……と思って。」

西洋「そうだったの。なら、私も…あなたに何かプレゼントするわ。」

機械「え?でも、助けてもらったのは私の方だし……」

西洋「いいのよ!私があげたいんだから。そ、それに……(ぶつぶつ)」

機械「え?今なんて?」

西洋「だ、だから!今日のお詫びをしてあげるって!!」

機械「ふふふ、素直じゃないんだから。」

西洋「う、うるさいわね。」

機械「……。」

西洋「ねぇ……」

機械「何?」

西洋「ごめんね……ありがとう。」

機械「……うん。」

明転

リッカ「これで…イベントクリア?」

ライ「……ぬるいな。」

Alice「でも、とりあえず、あの二人が幸せそうで良かったです!」

桜華「ですね。」

照明チカチカ。

5人「うわぁ!!」

人形たちはける。嵐に巻き込まれたように次々と大道具はける。

5人倒れる。明転。ラズリィ&ダズリィ登場。

イツキ「ここは……」

2人「「イベントクリアおめでとうございます」」

Alice「あ!ラズリィちゃんとダズリィちゃんだぁ~」

リッカ「イベントクリアってことは帰れるってわけ?」

ラズ「そうですね!ただ……」

ダズ「ゲーム開発者より、皆様にご挨拶があるそうです。」

中央にゲーム開発者登場。

桜華「あなたがこのゲームを作り、私たちを集めた……開発者さんなんですか?」

開発者「ええ、その通り。私がこのゲームの開発者です。」

リッカ「そういや、イベントの前に言ってたな。ラズリィがイベントをクリアしたらすべての真実がわかるって。」

開発者「ラズリィ、ダズリィ、下がりなさい。」

2人「「はい」」

2人は一礼して退場。

開発者「さて、では……説明を始めましょう。ただし、ラスボスを倒してゲームクリアした後…にね。」

手を叩くと、袖から蒼人・桜・愛・深月・太一が出てくる。

5人「「「?!!」」」

開発者「この5人が君たちが倒すべきラスボスになります。」

5人「…………」

開発者「ふふふ…ではっ!」

リッカ「あ、おい!!」

開発者、退場。リッカ追いかけるが蒼人によって阻まれる。

リッカ「て、てめぇ……」

蒼人はリッカに襲い掛かる。

リッカ「っ!!」(とっさによける)

3人「リッカ(さん)!!」

桜華「……これは、手ごわそうですね。」

Alice「そう……ですね」

リッカ「ハハッ…やっべ~…俺、勝ち目ないかも」

照明暗くする。クラスメイト123

1「お、蒼人じゃん!そういや、昨日ゲームしてたらさ~」

2「今日の宿題やった?あ、もうこんな時間かよ……」

3「わりぃ…その日は遊べねぇや。部活行かねぇと…」

重ね重ね声が聞こえ、騒音のようになる。

リッカ「やめてくれ!!!!」(静寂)

父「いつも一人にしてごめんな、蒼人」

母「今日の帰りも遅くなるから、一人で冷蔵庫の物自分で勝手に食べてね。」

リッカ「父さん…母さん!!俺を、一人にしないでくれ……」

Alice「リッカさん?」

イツキ「どうしたんだろう?」

桜華「いったい何が……?」

1「桜ちゃんってすっごく頭いいよねぇ~」

桜華「っ?!」

1「でも。ちょっと怖くない?」

2「本当、いっつも一人だしさ~。ちょっと偉そうだよね。」

3「うちらのこと馬鹿にしてるみたい。最低じゃん。」

桜華「そ、そんな…私は…」

母「桜さん、今からお習字でしたよね?ああ、明日ピアノのお稽古が入ってたので確認しておいてくださいね。」

父「行きたい学校はあるのか?どこでも好きなところを選べば良い。」

桜華「そんなの…そんなの、あるわけないじゃないですか!お母さんの言いなりで…自分の意見なんて…」

Alice「桜華ちゃ…」

1「あ、愛ちゃん!!新しいペン買ったんだ~!かわいい~!!」

2「今日髪型違うんだね~!似合ってるよ!!」

3「次体育だって!早くいこ~!」

Alice「う、うん!ちょっと待って……」

1「(ヒソヒソ話)愛ちゃんって、最近調子に乗ってるよね?」

2「そうそう!ぶりっ子だしさ」

3「あの髪型、似合ってるとか思ってんのかな?」

Alice「うそ…うそ、うそ、うそ!!私は一人じゃない!!私は、1人じゃ…」(崩れ落ちる)

イツキ「み、みんな…」

父「深月、すまないな。イツキの面倒頼んだぞ!」

母「すぐにパニック状態になったら、すぐに病院と私たちに連絡してね。」

イツキ「……わかったよ」

弟登場。

弟「お兄ちゃん」

イツキ「ん?どうした、イツキ」

弟「ごめんね、お兄ちゃん。僕のせいでお兄ちゃんは…」

イツキ「そんなこと言うな!イツキ、僕は大丈夫だから!」

弟「でも!僕が病気にならなければ…」

イツキ「イツキ!!」

周りが一気に静かになる。

イツキ「なんで…イツキのせいじゃないのに…なんで?」

ライ「・・・・・・・・・・・」

親友登場。

友「太一!」

ライ「やめ…ろ」

友「お前、昔俺の事助けてくれたよな!」

ライ「やめろ」

友「いっつも自分の意見はっきり言えててさ」

ライ「やめろよ」

友「マジで、俺のヒーローだな!」

ライ「やめろってば!」

静寂。

1「太一って自分のことヒーローだとでも思ってんのかな」

2「自分の言ってる事正しいって思って疑ってねぇな~」

3「お前もそう思うだろう?」

友「だ、だよな」

ライ「……うそつき、うそつき、うそつきうそつき!!」

1「ほら、何とか言えよ!ヒーローさん?」

2「うわっダッセ~!!こけてんじゃん。」

3「かわいそ~!知ってた?これ、全部お前の親友が仕込んだんだぜ?」

友「は?!お、俺は……」

1「だよな?」

友「あ、ああ、そうだ…そうだよ!!」

2「ぎゃはははは!言っちゃった!!」

友「……」

ライ「何なんだよ、もう……」

明転。

開発者「さぁて。あれがあなた方が打ち勝つべき相手です。それにしても大変そうですね。(リッカのところに)クラスの人気者なのに、親友とよべる人が一人もいない。両親は忙しくていつも孤独。その孤独を埋める様にネットにすがっている…プレイヤー・リッカ。本名田村蒼人。(桜華のところに)週7つの習い事、週3の塾。母親からのプレッシャーに耐え、優秀な成績をキープしているが、一人じゃ何もできない…プレイヤー・桜華。本名宮野桜。(aliceのところに)いつも誰かと一緒じゃなきゃいけない友達依存症。でも、陰で何を言われているかわからないという恐怖から、人を信じることができない…プレイヤー・alice。本名鈴木愛。(イツキのところに)弟は障害を抱え、入院費を稼ぐために働いている両親にかわり面倒を見なくてはいけない。プレイヤー・イツキ。あ、この名前。弟の名前らしいですね。本名は佐々木深月。(ライのところへ)一番大変なのはあなたみたいですね。ゲームのプレイ時間、あなたが圧倒的に多いですし。まあ、当然ですよね。唯一無二の親友に裏切られ、いじめ被害にあって引きこもり。……プレイヤー・ライ。本名佐藤太一。ほんと大変ですね。悩みに押しつぶされそうになりながら生きるの、辛くないですか?辛いですよねぇ?」

イツキ「……辛いわけ、ない」

開発者「……ほう?」

イツキ「僕は、弟のことが好きだ。確かにイツキは重い障害を抱え、入院もたくさんしなくちゃいけないし、人とかかわりを持つことも苦手だし。いつでもそばにいなくちゃいけないから僕は部活もできなければ友達とも遊べない。……だけど、僕が辛いのは、それだけじゃない。弟のお世話、大変だねって。辛いでしょうって。何よりイツキが僕のせいでって言ってるのを隣で見てるのが辛い!…それでもパニック状態を起こして僕がなだめた後、イツキは必ずありがとうって言ってくれるんだ。僕はそれが何よりうれしい。辛かったとしても

開発者「……」

イツキ「だから、辛いだなんて思わない。弟を…イツキを悩みだなんて思ったことは一度もない。」

間。

桜華「ふふ、何ですか、それ。かっこいいこと言って。そんなこと言われちゃ、母親に逆らえないで、一人じゃ何もできないなんて悩んでいる私が…バカみたいじゃないですか?」

イツキ「そんなことない。悩みなんて、人それぞれ。だから、その悩みに大きいも小さいも。かっこいいも悪いもないでしょ?」

桜華「……」

イツキ「それに、それだけプレッシャー感じてるってことは、それだけ期待されてるってことでしょ?」

桜華「え?」

イツキ「プレッシャーって、期待されている分だけ感じるものだと思うんだ。君が成績優秀で、なんでもできるから期待されるんだよ。」

桜華「そうなんでしょうか」

イツキ「そうだよ!まあ、あと少しだけ自分の意見を主張する勇気が持てればね…」

桜華「ふふ…そうですね。がんばってみます。」

照明半分つける。

イツキ「ねぇ、リッカくん」

リッカ「んだよ……」

イツキ「僕さ、君のことうらやましいんだ」

リッカ「は?」

イツキ「僕、弟のこともあって、クラスじゃ目立たない方なんだ。それに、僕は君のように中心に立つ勇気もない。」

リッカ「……」

イツキ「リッカ君はさ、親が忙しくて、家で孤独を感じてるから、学校でもどこか、孤独を感じてるんじゃないかな?」

リッカ「……(黙ってイツキを見上げる)」

イツキ「もしかしたら、学校の人たちに目を向けると。君の友達だって、親友だって言ってくれる子がいるかもしれないよ」

リッカ「そんな奴、いるわけ……」

イツキ「いるよ」

リッカ「なんでそう言い切れ……」

イツキ「僕がそうだったから。」

リッカ「……」

イツキ「僕もそうだったんだ。一時期、弟のこともあって、僕に友達はいない。できるわけないって思ってたんだ……。でも違った。家のこと、弟のこと、クラスのこと、友達のこと…全部ばらばらにして考えたら、意外と上手にいったんだ。できないって思ってた……いや、思い込んだ友達もできた。親友だって、胸を張って言える人だっている。」

リッカ「……」

イツキ「リッカ君は、僕より人と関わるの得意みたいだし、大丈夫」

リッカ「……だったら、いいな」

イツキ「いいな、じゃなくて、現実にするんでしょ?」

リッカ「それ、キャラのセリフ丸パクリじゃん!!」

イツキ「あははは……ばれた?」

リッカ「ばれないわけねぇだろ?……でも、さんきゅーな。」

イツキ「うん」

イツキ、リッカの手を取って立ち上がらせる。照明がもう半分に切り替わる。

桜華「aliceさん」

Alice「何よ」

桜華「あなた、馬鹿なんですか?」

Alice「な!!」

桜華「友達だと思ってる人に陰で何を言われてるかわからないから怖い…だなんて。それ、友達って言えるんですか?」

Alice「言える…わよ」

桜華「いいえ、言えません。」

Alice「友達のいないあんたにはわからないわよ!」

桜華「そうかもしれませんね。ですが、それを友達と呼ぶのなら私は友達を欲しません。友のそれは本当に友達だと言えるんですか?」

Alice「……」

桜華「私たち、結構似た者同士かもしれませんね」

Alice「…どこが?」

桜華「友達がいないところ。」

Alice「……」

桜華「そこで、私から提案です。…友達になりましょう」

Alice「え?!」

桜華「私は、あなたの間延びした話し方が嫌いです。あなたのいつわれる性格が嫌いです。」

Alice「わ、私だって、頭いいです!みたいにすましているあんたが嫌い。親に文句ひとつ言えないあなたが嫌い!!」

桜華「……でも、倒れているライさんを見て、回復魔法を瞬時に使ったあなたが好きです。他人のことを素直に褒められるあなたが好きです。人の幸せを祝福してくれるあなたが好きです。」

Alice「私だって……私だって、馬鹿みたいにまっすぐなあなたが好き。状況判断の素早いあなたが好き。どんな時も全力なあんたが好き!!」

桜華「ふふ、これで、私たち、友達ですね(手を差し出す)」

Alice「そうね(その手を取る)」

桜華「……それにしても、さっきとキャラ違いすぎません?」

Alice「う、うるさいわね!」

照明すべてつく。

イツキ「ねぇ、ライく……」

ライ「俺に近づくな!!」

Alice「でも、あんたも保運藤はわかってるんでしょう?あの親友、本気であんたを裏切ったわけじゃないって。」

リッカ「他の奴らに脅されてるんだって。お前、その逆の立場に立ったとして、どうるすのが正解だなんてわかんねぇだろ?」

ライ「そんなの…そんなの、わかってんだよ!あいつは、周りの奴らに脅されてるだけなんだって…」

リッカ「じゃあ、なんで」

ライ「あいつ、俺が引きこもってからいじめられてんだ」

4人「……」

ライ「要するに俺の代わりだ。俺が引きこもって数日たったある日、電話があったんだ。あいつ、いじめられてるってことは言わなかったけど、謝ってきた。あの時はごめんって。次来たらお前の味方だって。でも、いじめられてるなんて知らなかった俺は、あいつを突き放した。そんなウソ、もう通じないって。もう、でんわするんじゃねぇって。そのあと、しばらくしてあいつがいじめられてるって知ったんだ。」

4人「……」

ライ「でも、俺は助けに行けなかった。いや、行かなかった!……おれは結局自分の親友を見捨てて……笑えるよな。こんなおれがヒーローだなんて。」

イツキ「……笑えないよ。ちっとも笑えない。君は逃げてるってわかってるし、何をすべきなのかもわかってる。なのに、動こうとしない。:

ライ「……」

イツキ「君、もう一回、親友のヒーローになりたいんじゃないの?」

ライ「俺に、そんな資格……」

イツキ「あるよ。まだ間に合うから、大丈夫」

ライ「……」

イツキ「何をするにしたって、遅い事なんてないよ。あと少しだけ勇気があればいいんだから。」

ライ「……ああ」

イツキ「じゃあ、5人で最後の敵を倒しに……」

開発者「その必要はありませんよ!」

5人「!!?」

開発者「5人は下がって。ラズリィ、ダズリィ」

蒼人・桜・愛・深月・太一ははける。ラズリィ&ダズリィ登場。

2人「はい」

開発者「プレイヤーを元の世界へ戻す手はずを」

2人「かしこまりました。」

2人はお辞儀して退場。

リッカ「……どういうことだ?」

開発者「私は君たちが心に闇を抱えてることを知って、それを助けたいと思って君たちをこのゲームに招待したんです。」

桜華「え?でも、どうやって…?」

開発者「それは企業秘密ってことにしましょう。……イベントというのは建前で、あなたたちに自らのコンプレックスや悩みに打ち勝って欲しかったんです。そして君たちは見事に自分に打ち勝った」

5人「……」

開発者「それを自信にして、頑張ってください」

5人「はい!」

開発者「…さて、そろそろお別れですかね。」

ラズリィ&ダズリィ登場。

2人「準備が整いました。」

開発者「ああ、じゃあまたゲームでお会いしましょう。リアルが充実しても、ゲームにログインするのを忘れないでくださいね」

とても強い光。それと同時にプレイヤー5人は倒れる。

開発者「……帰ってしまいましたか。ライ、イツキ、リッカ、桜華、alice……5人のゲームログインを待ちなさい」

プレイヤー5人起き上がる(機械っぽい動き)。そのままはける。

開発者「さて、新入り局員のみなさんも彼らのような勇敢な局員になることを期待しています。ではまた、ゲームでお会いしましょう。」

幕。